15.剪定方法を選ぶ
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コート・ド・ニュイの2大剪定方法の特徴を見てみよう。
この地域の畑の土壌の性質と、気候条件に適したぶどう品種(とクローン)であるpinot noirピノ・ノワールが植えられていて、その樹がそれぞれの畑とより調和するように、剪定方法が選ばれている。
・guyot simpleギュイヨ・サンプル
ぶどう樹の生産力を、もっとも発揮させられる剪定方法。
だから剪定後の春の仕事の中で、発芽した芽の数を調整することが大切だ。
発芽した芽を減らせば、1本の樹になる房の数をコントロールできるし、
新梢が密に茂るのを防ぎ、病害の発生を抑えられる。
・cordon de royatコルドン・ド・ロワイヤ
ぶどう樹の生産力を弱める剪定方法。
ぶどうの房は小さくなり、数は少なくなる。
樹勢が強すぎると判断された場合、この剪定方法が採用される。
新梢が間隔をもって均等に発芽するため、空気も通りやすく、病害の発生を抑えられる。
ただ、ヴィニュロンによってこれらの特徴のとらえ方も違う。
ある人は、区画ごとに適した剪定方法をみいだして、それと決めたらその方法でその区画のすべての樹を剪定する。
またある人は、guyot simpleギュイヨ・サンプルこそがpinot noirピノ・ノワールにとって完成された剪定方法だという考えのもと、彼のすべての畑をguyot simpleで剪定する。
また別の人は、区画単位ではなく、樹単位でどの剪定方法が最適かを見極めながら剪定するから、いろいろに剪定された樹が混ざった垣根をつくっている。
畑によっては、昔gobeletゴブレだった樹がguyot simpleギュイヨ・サンプルに変更されたり、cordon doubleコルドン・ドゥーブルが、guyot simpleギュイヨ・サンプルに変更された名残のある樹を見つけることができる。
こちらの区画は、まさに変更中。cordon doubleコルドン・ドゥーブルに仕立ててあったのだが、畑にうまく適していなくて、既にかなり変則的なcordon doubleコルドン・ドゥーブルになっていた。だから思い切って、この区画の樹すべてをguyot simpleギュイヨ・サンプルに切換えていく。

長い歴史の中で多くの方法が試され、現在採用されている剪定方法はかなり洗練されている。
けれども、万能ではない。今もその進化の途中だともいえる。
そうかと思えば、垣根にしない、ぶどう樹が1本いっぽんが独立した戦前の仕立て方への回帰を果たした畑も存在する。
コート・ド・ニュイのpinot noirピノ・ノワールは、その区画ごと、その生産者ごとに剪定方法が選ばれることによって、その畑の特徴に密着し、一体化し、別けて離すことのできない存在になる。