ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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53. labourラブール(耕起)の種類と時期とタイミング

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labourラブール(耕起)の動力

現在ブルゴーニュのコート・ド・ニュイのぶどう畑のlabourラブール(耕起)は、おもにトラクターで、生産者や区画によっては馬で、まれに人力でおこなわれている。

トラクターは、ぶどう樹の列をまたぎながら前進できるおなじみのenjambeurオンジョンブーに、labourラブール(耕起)の器具を装備しておこなう。この器具は目的にあわせてたくさんの種類がある。馬に器具を牽引してもらっておこなう場合も、どこをどのように耕したいかによってさまざまな種類の器具から選ぶことができる。



ぶどうが植えられている畑は、2つの部分に分けることができる

ぶどう樹が並んでいる列の部分の土 と ぶどう樹の列と列のあいだの部分の土だ。
labour1.jpg

トラクターや馬でlabourラブール(耕起)するばあい、この2つの部分の土は同じ器具で耕すことができない。なぜなら、ぶどう樹が並んでいる列の部分の土を耕すとき、ふつうの犂を通過させようとするとぶどう樹に引っかかって前進できなくなるか、ぶどう樹をなぎ倒してしまうからだ。だから、それぞれの部分に対してに専用の器具をつかう。



ぶどう樹が並んでいる列の部分の土のlabourラブール(耕起) 水色の範囲

intercepsアンテルセップは、ぶどう樹とぶどう樹のあいだの土を耕すことができる。
débuttageデビュタージュ(畝崩し)のところでも登場したこの器具、今回はビデオを撮ってみた。

ぶどう樹を傷つけないように樹をさけながら、樹の際ぎりぎりまで耕すことができるのは、細い棒がセンサーのように働くからだ。ぶどう樹からその棒がはなれると、直後に鎌が水平に振れる。この鎌を沈める深さによって、掻き出す土の量をかえることができる。そして、鎌によってぶどう樹以外の植物が刈られるというしくみだ。


intercepsアンテルセップの装置は、センサーであると、実際に土や草に触れるで構成されている。その前や後ろにはbinageビナージュの犁がいくつか装備されていて、intercepsアンテルセップが掻き出した土をよりよくほぐしたり、均したりしている。

interceps2.jpg

ただ、鎌が一方向にしか振れないから、ぶどう樹の1列を両側から耕すには、トラクターが往復する必要がある。そして、鎌が入らないところは人が鍬をふるって耕すことになる。



ぶどう樹の列と列のあいだの部分の土labourラブール(耕起) むらさき色の範囲

griffageグリファージュは、ぶどう樹の列と列のあいだの表土を爪でひっかいて、土をほぐし空気を入れたり、地面を平らにする。また、ぶどう樹以外の植物が中程度に繁栄しているくらいなら、除草の効果も期待できる。だから、ジャングル状態になる前に定期的なgriffageグリファージュが必要だ。

griffage3.jpg
これらの爪を土に浅く沈めて、←こっちに進んでいく

こうして地表で固まった土をほぐして、その土がもともと持っている物理的な特徴をとり戻させると、短時間に大量に雨が降っても、土がさっと吸収できる。逆に、土が強固に踏み固められた状態だと雨が中に入っていくことができずに、地表に小川をつくり低い方へ流れていってしまう。しかも、この小川が地表からわずかずつ土を下流へと運んでいく。つまり、ぶどう畑の表土が、雨によって浸食されてしまう。貴重な土をうしなわないためにも、labourラブール(耕起)は効果を発揮する。


binageビナージュは、griffageグリファージュ用の爪をbinageビナージュの犁につけかえて行う。
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binageビナージュの犁にはいくつか種類があるけれど、みな平らに、歯先が地面と平行になるように据え付けられている。
地表から4~5cmの深さに沈め、→こちらに進むことで、根を効果的に切り除草する。そして爪にくらべて幅が広いため、土をよりいっそう積極的にほぐすことができる。

intercepsアンテルセップの装備でぶどう樹とぶどう樹のあいだを耕すときに、内側にこのbinageビナージュの犁を装備することで、2つの目的を同時にクリアし、相乗効果もきたいできる。刈られた草は地表に残されたり、土の浅いところに犁込まれれば、土中のさまざまな生き物によってさっそく分解されて土へかえるからだ。



耕す区画に広がる植物の種類 と 草取りの器具の 相性

ルリハコベや、ヒルガオといった植物のつるが絡まって、犁がうまく機能しなくなるリスクを考慮して適した器具を選ぶ。
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ぶどう樹以外の植物の種類は、1つの区画で次々と様変わりするわけではなく、毎年おおまかにいくつかの同じ植物が大量発生したり、控えめに発生したりする。これらの植物の種子は働き手のブーツや靴の裏、トラクターについた土によって運ばれるためか、離れた区画でも同じドメーヌの畑に同じ種類の植物が分布していることが多いように思われる。隣り合った区画でもドメーヌが違うと、同一人物が立ち入らないから、種子が入り込みにくいのだろう。まったく違う植物群が広がっていて、おかげで離れたところから眺めると、畑の色が違って見える。

そして、その区画のなじみの植物でも、年や時期ごとにものすごい勢いで生長して分布が拡大したり、縮小したりするので、ああ、この気候がこの植物にとっていちばん快適なんだなぁと思う。年によって繁栄する植物が違うと、この違いがぶどう房にはどんな違いをもたらすのだろうと楽しみになる。




labourラブール(耕起)の時期

labourラブール(耕起)は春から夏にかけて3~5回、その年の気候条件に応じておこなわれる。とくにトラクターや馬でのlabourラブール(耕起)は、7月の終わり頃には終え、それ以降は人力での鍬にきりかえる。しかし、8月に雨が多くぶどう樹以外の植物がひじょうによく育つ年は、まれにもう一度トラクターや馬にたよる場合がある。



labourラブール(耕起)のタイミング

labourラブール(耕起)は土が乾燥している時におこなう。そうでないと土の中の空気の入れ替えという目的が果たせないからだ。また土が乾燥していれば、ぶどう樹の根を窒息させるというリスクも回避できる。


またlabourラブール(耕起)は、これまでのページで見てきた春夏のぶどう畑の6つの仕事と並行しておこなわれる。ébourgeonageエブルジョナージュとévasivageエヴァズィヴァージュ(2種類の摘芽)traitementトレットモン(農薬散布)relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)accolageアコラージュ(新梢の固定)rognageロニャージュ(摘芯)、そしてlabourラブール(耕起)だ。

並行するとなると、どの仕事を先に行うかが重要になる。限りある人数とトラクターを、特徴がことなる複数の区画に組み合わせていく。
その年の気候条件とその近日中の天気で、その区画のぶどう樹の生長、土壌の乾燥具合や植物の繁榮加減などが変化する。それらの状況と照らし合わせて、それぞれの仕事が最適なタイミングでおこなわれることが大切だ。



次回はlabourラブール(耕起)のリスクを見ていこう、labourラブール(耕起)は必要なのだろうか。



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VV1300100.jpg Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方 もくじ
 このカテゴリーのもくじです。



VV24300100.jpg 24. débuttageデビュタージュ(畝崩し)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 厳しい寒さがくる前にbuttageビュタージュで
 ぶどう樹の根元にかぶせた土を
 寒さがすぎた後もとに戻す耕作のこと。



VV26300100.jpg 26. 2種類の摘芽 
 ébourgeonnageエブルジョナージュとévasivageエヴァズィヴァージュ

 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 発芽した芽のなかから、不要と判断した芽をつみとる仕事が摘芽だ。
 では、2種類の摘芽のちがいは・・



VV35300100.jpeg 35. traitementトレットモン(農薬散布)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 春に発芽したぶどう樹のみどり色の器官(0才の部分)が罹る
 カビに起因する病気の蔓延をふせぐためにおこなう農薬散布を
 traitementトレットモンと呼んでいる。


VV45150100.png 45. relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 大切なsarmentサルモン(新梢)をうまく管理するために
 relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)をおこなう。



VV46150100.jpg 46. relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)の最終段階と
 accolageアコラージュ(新梢の固定)

 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 ぶどう樹1本いっぽんを独立させて
 sarmentサルモン(新梢)をまっすぐ立てて並べる。



VV47150100.png 47. rognageロニャージュ(摘芯)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 sarmentサルモン(新梢)の先端にある芽を切り落とすことを
 rognageロニャージュ(摘芯)という。



VV51150100.png 51. labourラブール(耕起): 土とは、なんだろうか
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 ぶどう樹が植わっている畑の土を耕すことが
 labourラブール(耕起)だ。土を耕す。耕すってなんだろう。
 ん?そのまえに、土ってなんだ。身近すぎてよく知らないぞ。



VV52150100.png 52. labourラブール(耕起)の目的
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 土を掘りかえしほぐすことが、土の構成要素である
 無機物・有機物・水分・空気・生き物に
 どんなよい変化をもたらすのだろうか。


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