ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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45. relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)

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ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)でのこした芽が、春の暖かさの波にのってぐんぐん生長してくる。小さな芽が伸びて茎になり、りっぱな枝になっていく。この図でみどりの矢印でかいてある枝がこの年のsarmentサルモン(新梢)だ。sarmentサルモン(新梢)からは葉がつぎつぎと広がるし、発芽したときにすでに見えていたぶどうの花の蕾の房も、このsarmentサルモン(新梢)についていて開花はまだかと生長をつづける。


こんなふうにsarmentサルモン(新梢)には、ぶどう樹の栽培にとって重要な器官が集中している。ところが、若いsarmentサルモン(新梢)はやわらかくて自立しないので、ある程度の高さまで生長をほおっておくとその重さで土の上に倒れてしまう。


そこで、大切なsarmentサルモン(新梢)をうまく管理するために、relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)をおこなう。この作業がいいタイミングで適切におこなえるかどうかで、ぶどう樹の健康にも、収穫のぶどう房の質も量にもおおきく影響がでる。


traitementトレットモン(農薬散布)のページでみてみたとおり、sarmentサルモン(新梢)が土に接触することのリスクの高さは計り知れない。この時期のsarmentサルモン(新梢)も、葉も、花の蕾の房も、柔らかいうえに水分や栄養分をおおく含んでいてミルデューやオイディウムといったカビのえじきになりやすい。relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)によって、大切だけどとても弱い器官に、土におおく住むカビを触れなさせないようにできるのだ。また、ていねいにrelevageフルヴァージュ(新梢の誘導)することで、traitementトレットモン(農薬散布)は最低限の量で最大の効果を発揮することができる。



relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)で、ぶどう樹の列が垣根になる

まずは図をみながら、重要な脇役たちを思い出しておこう。

こちらは、ぶどう樹の列を真上からみた簡略図。

ぶどう樹の列は、かならずpiquetピケ(杭)で始まりpiquetピケ(杭)で終わる。くわえて、列のなかでは7~8本のぶどう樹ごとにpiquetピケ(杭)が打ってある。


そしてpiquetピケ(杭)には、filフィル(針金)が高さちがいに2本、地面に平行になるように固定されている。高いほうがfil du haut フィル・デュ・オーで、低いほうがfil de taille フィル・ド・タイユだ。この2本の針金は、すべてのpiquetピケ(杭)にU字のくぎで固定されている。




そしてこちらが、relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)の主役 fils doublesフィル・ドゥーブル。sがついて複数形になっているとおり、垣根をはさんでこちら側とむこう側に1本ずつで計2本だ。特徴は、ぶどう樹の列の始めと終わりのpiquetピケ(図のベージュの杭)にだけ固定されているということ。この段階では冬の終わりの仕事でおこなったとおり、2本のfils doublesフィル・ドゥーブルが地面におろされている状態だ。



sarmentサルモン(新梢)が生長してきた!relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)をするぞ。

垣根のむこう側の針金は点線でかいてみた。ながく生長してきたsarmentサルモン(新梢)を、このようにfils doublesフィル・ドゥーブル(2本の針金)を下から持ち上げ、はさんで固定し、倒れないようにするのがrelevageフルヴァージュ(新梢の誘導)だ。

releverと綴るとふたたび起こす・引き上げるという動詞になる。冬の終わりに地表に下ろしておいたfils doublesフィル・ドゥーブル(2本の針金)を、ふたたび高いところに固定することから、この作業はrelevageフルヴァージュと呼ばれる。ちなみに片仮名表記はルルヴァージュのほうがいいのだろうか・・。フでもルでも、これでぶどう樹の列がやっと垣根になってきた。


はさんだ状態をたもつためにつかうのが、このagrafeアグラフ(留め金)。




agrafeアグラフ(留め金)は、ぶどう樹にはさまれているpiquetピケ(図の水色の杭)の前後2ヶ所に留める。そうすることでぴったりと固定されて、強い風がふいても大切なsarmentサルモン(新梢)が倒れないぶどう樹の生垣になる。



relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)はつづく

agrafeアグラフ(留め金)をつかう重要な利点はまだある。sarmentサルモン(新梢)はこれからもどんどん生長していくから、その高さにあわせてfils doublesフィル・ドゥーブル(2本の針金)の高さを上げるひつようがある。そのためにこの針金はこれらのpiquetピケ(水色の杭)には固定されておらず、agrafeアグラフ(留め金)を留めなおすことによって自由に高さをかえられるようになっているのだ。


また、図のようにfils doublesフィル・ドゥーブル(2本の針金)の高さを手軽にかえられるように、piquetピケ(ベージュの杭)に高さちがいにストッパーをつけるなど工夫されている。


sarmentサルモン(新梢)は日光を浴びると、みるみるうちにいちばん高い針金のfil du haut フィル・デュ・オーもかるがる越えて伸びてゆく。sarmentサルモン(新梢)の先端には、ちいさな葉が数枚あって、その表面の産毛に太陽があたって白くひかり、風があればほよほよとそよいでいる。数週間後にはこのちいさい葉がみごとに広がり、光合成の稼ぎ頭となってぶどう樹の栄養を支えるようになる。そのころ、relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)は最終段階にはいる。






 



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