ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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18. 剪定の時期

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"Taille tôt, taille tard, rien ne vaut la taille de mars"
これはブルゴーニュのtailleタイユ(本剪定)の時期についてよく言われるフレーズ。
"早すぎるtailleタイユ、遅れてするtailleタイユ、3月のtailleタイユに勝るものはない"
季節のうつろいがtailleタイユ(本剪定)の質に深く関係することをあらわしている。

 日本語で「剪定」というと、どの季節のものでも樹へ鋏を入れること全般を指すので、
 tailleタイユを冬の本剪定として書いていこうと思う。

またブルゴーニュの伝統に従って仕事をする人は、1月22日のヴィニュロンのお祭りSaint Vincentサン・ヴァンサン以前には、決してtailleタイユをはじめないという。この日より以前のtailleタイユは、1946年2月8日の行政からの命令、1944年3月15日と1956年9月17日の大臣の命令によって規制されている。


では、早すぎるtailleタイユにはどんな欠点があるのだろうか。

ぶどう樹は寒い冬を越すために、枝が乾燥によって死なない程度ぎりぎりまで、水を幹や根へ下ろす。こうすることでぶどう樹内の糖度があがり、その分凝固点は下がる。もし樹皮のまだ薄い枝が、みずみずしいまま氷点下の冬を迎えたら、寒さで細胞の水分が凍り、組織が破壊されて枝は死んでしまう。


死んでしまった枝の断面


こちらは健康な枝の断面


たとえば11月という、樹液が下りきっていない可能性がある時期に、のこしておきたい芽の近くまで枝を切り、その直後に強い寒気がきたら、枝の水分が凍結して、枝も芽も死んでしまう。そういった被害を回避するために、樹液が下りきり、しかも強烈な寒さがすぎる頃の1月22日が目安とされてきた。

また1月22日以降でも、気温が-3℃を下回ればtailleタイユはしない。気温が低いと、切った瞬間にボンっといって枝がはじける。水分が膨張して組織が砕かれる音だ。



それでは逆に、タイミングを逃した遅すぎるtailleには、どんな欠点があるだろうか。

遅すぎるというのは、冬が終わり気温が上がってきているということだ。陽気のいい日が続けば、あっという間に発芽しはじめてしまう。ちょっと待ってーと言っても、聞いてくれるぶどう樹なかなかいない。


この日の最高気温は8℃。樹液がにじみ、溢れてこぼれ落ちる。休眠していたぶどう樹か目覚めた合図だ。強い風もなく、太陽にぽかぽかに暖められて、ぶどう樹に温度が溜まっていくのがわかる。

tailleタイユの終盤に、この樹液の溢出が見られるくらいがちょうどいい。樹液が流れ出るおかげで、ぶどう樹に侵入しようとするカビを防げるからだ。

年によって暖かくなるタイミングかまちまちだから
"Taille tôt, taille tard, rien ne vaut la taille de mars"
"早めに剪定するのもまぁいいし、遅れてする剪定もしょうがない、
でもやっぱり3月の剪定に勝るものはない"なのだ。



ところが今日のブルゴーニュの畑では、11月の中頃にはtailleタイユが始まる。多くのドメーヌにとって、tailleタイユは3月どころか、1月22日にせーのではじめて終わるような仕事ではない。畑の広さに対して本剪定の技術を身につけている働き手は意外に少ないからだ。


そこで考え出されたのが、1本の樹を2度に分けてtailleタイユする方法。
1度目: prétailleプレタイユ(前剪定)
 新しいcrochetクロッシェやbaguetteバゲットを決め、
 それ以外の不要な枝を切り落とす。
 crochetをbaguetteと簡単に見分けられるよう、ほんの少しだけ枝の端を切る。
 1月22日までは、こちらを行う。

2度目: taille deuxième passageタイユ・ドゥズィエム・パッサージュ(2回目の剪定)
 crochetクロッシェやbaguetteバゲットにのこす芽を数え、
 その位置で枝を切って剪定を完成させる。
 1月22日以降はこちらを行い、また、prétailleプレタイユ(前剪定)が終わってないぶどう樹に
 は下記のtaille directeタイユ・ディレクトを行う。

 
 手前の樹がtaille deuxième passageタイユ・ドゥズィエム・パッサージュ(2回目の剪定)直後
 のcordon doubleコルドン・ドゥーブル。後ろに見えてる樹は2度目を待ってる、prétailleプレ
 タイユ済の樹。

こんなふうに2度に分けてtailleタイユすれば、crochetクロッシェやbaguetteバゲットになる枝にとっては、1月22日以降にtailleタイユしているのと同じだし、切った枝の処理も効率的にできるという考えだ。


一方、1度でtailleタイユを終わらせることを、
taille directeタイユ・ディレクト(直接剪定)と呼んでいる。
現在はその日の気温を見ながら、この方法で早い時期から切り始めるドメーヌも増えている。




おまけ

5月11日にまだtailleタイユされてない畑を見つけた。笑
ぶどう樹もそれ以外の草も、芽という芽が発芽してる。冬の間に仕事をしないと、こんな風になるんだと感動した。ちなみにこの畑はドメーヌ所有ではなくて、個人の自宅消費用のワインのための畑だと思われる。





 

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