ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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40. traitementトレットモン(農薬散布)のタイミングを決める

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その年の1回目の散布をいつにするかというtraitementトレットモン(農薬散布)をおこなううえでもっとも重要な決定、そして2回目以降のtraitementトレットモン(農薬散布)のタイミングをどのように決めるのかをみていこう。前ページまでで、この重要な決定のためにふまえておきたいことをみてきた。


mildiouミルデュー(ベト病)の原因カビplasmopara viticolaの性質を知ると、気象予報を見ればその年のmildiouミルデュー(ベト病)について重要なことが3つ予測できるということをこちらのページでみてみた。予測できる3つのこととは、その年のmildiouミルデュー(ベト病)の
蔓延するリスクの高さ
感染日
感染から何日目に斑点が出るか
そして、じっさいの気象条件と照らしあわせて、予測を微調整することができる。


またbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)には、殺菌効果とカビの侵入防止効果の両方があるということをこちらのページでみてみた。



その年の1回目の農薬散布をいつにするか

春、ぶどう樹はあたらしい葉をつぎつぎに広げながら枝をのばしていくから、traitementトレットモン(農薬散布)のタイミングが早すぎると、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)がついてない無防備な部分が増えてしまう。

1度で最大限のbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の効果をえたい。けれども遅すぎるとリスクが高くなり、もしmildiouミルデュー(ベト病)の爆発的な生長・増殖・感染のサイクルがはじまってしまえば、止めることができない。だから1回目の農薬散布のタイミングはもっとも重要だ。

なにを目的にするかによって、そのタイミングはいくつかにわかれる。


“第1次感染を防ぐため”の1回目の農薬散布のタイミング

上の図では左から右に向かって時間が進んでいる。『雨=感染』とみなされるから、『雨の予報=感染の予報』となる。
なので第1次感染を防ぐ目的のばあい、第1次感染日であるはじめての雨の日を予測し、その直前に散布する。bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の、カビ侵入防止効果を利用するという考え方だ。予報された雨で地面から跳ねあげられたmildiouミルデュー(ベト病)の原因カビplasmopara viticolaが、ぶどう樹の若い器官から侵入しないように、霧状に吹きつけられたbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)が、葉や花の蕾の房などの表面で待機して予防する。

このタイミングのばあい、いつ雨が降るかという正確な気象予報がたいせつだ。予報した日に雨が降らなかったら、今日ははずれたねですむけれど、逆のばあいそうはいかない。だから雨の予報がなくても、ぶどう樹が発芽し葉が5~6枚広がったら、第1次感染を防ぐ目的で1回目の農薬散布をおこなう生産者もいる。



“第2次感染を防ぐため”の1回目の農薬散布のタイミング

上の図では左から右に向かって時間が進んでいて、雨が降ったときを第1感染とみなしている。

第2次感染を防ぐ目的のばあい、mildiouミルデュー(ベト病)蔓延のリスクが低いと判断された年であれば、1回目の農薬散布は実際に斑点をみつけた後でよい。上の図の青の印のタイミングだ。

いっぽう、mildiouミルデュー(ベト病)蔓延のリスクが並~高いと判断されていれば、1回目の農薬散布は、斑点が出現すると推定される直前におこなうべきとされる。感染日から斑点が出るとされる日までを正確に予測することで2次感染を防ぐという考え方だ。

どちらのばあいも、第1感染~潜伏期間までは手をださず、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の殺菌効果によってmildiouミルデュー(ベト病)の原因カビplasmopara viticolaを減らし、またカビ侵入防止効果によって2次感染を防ぐ2点を期待している。



2回目以降の農薬散布のタイミング

考慮に入れるべき要素は3つ。

ぶどう樹の生長ぐあい
春から夏にかけてのぶどう樹の生長ははやく、あたらしく何枚もの葉がおおきく広がるようになる。そのあいだに散布がおこなわれなければ、無防備な部分がどんどん増えるということだ。

ぶどうの房の生長ぐあい
ぶどうの花の蕾の房はぶどう房として収穫されるまで、開花・受粉・結実・ふくらんで果粒どうしが密着する・色づき・成熟という生長をはたす。


その無防備な部分にとってはいつでも、『雨=感染』として考える。

これら3つの要素を、以下の項目と照らし合わせてタイミングを決める
・リスクが平均的な年であれば1回目の散布から、ふくらんで果粒どうしが密着する時期までに1度はおこなう。
・最後の散布は色づき中期よりもあとにおこなう。
・『雨=感染』を念頭に、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の殺菌効果とカビ侵入防止効果を考慮する。雨の前におこなうのがいっぱんてきだろう。



mildiouミルデュー(ベト病)の斑点がたくさん出てきてしまったばあい

気候条件が厳しくリスクが高い年に、1回目・2回目以降の農薬散布のタイミングがうまくかみあわなかったりして、mildiouミルデュー(ベト病)が重症化してしまった区画には、4~5日間隔で2度散布する。

活発に生長・増殖しているカビplasmopara viticolaをbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の殺菌効果によって減らし、カビ侵入防止効果によってつぎの感染を防ぐことで、できあがってしまった生長・増殖・斑点の出現・胞子の形成・感染のサイクルを断ち切ることを期待する方法だ。頻度をあげて2度くりかえすことによって、より高い効果がえられる。



このようにmildiouミルデュー(ベト病)の原因のカビplasmopara viticolaの生き物としてのサイクルと特徴、そしてbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)が効果を発揮するしくみを知ると、的確なタイミングでtraitementトレットモン(農薬散布)をおこなうことができることがわかった。

しかもその年の気候条件と、それぞれのclimatsクリマ(ぶどう畑の区画)の特徴からくる畑の状態のちがいや、その区画のぶどう樹の生長段階をふまえることで、その年のmildiouミルデュー(ベト病)に対するきめこまかい対応ができる。



 



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VV1300100.jpg Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方 もくじ
 このカテゴリーのもくじです。



VV35300100.jpeg 35. traitementトレットモン(農薬散布)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 春に発芽したぶどう樹のみどり色の器官(0才の部分)が罹る
 カビに起因する病気の蔓延をふせぐためにおこなう農薬散布を
 traitementトレットモンと呼んでいる。


VV36300100.jpeg 36. traitementトレットモン(農薬散布): mildiouミルデュー(ベト病)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 mildiouミルデュー(ベト病)はplasmopara viticolaという名のカビが
 春に発芽したぶどう樹のみどり色の器官に寄生することによっておこる
 病害だ。


VV37300100.jpeg 37. traitementトレットモン(農薬散布)
 : mildiouミルデュー(ベト病)の性質と3つの予測

 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 mildiouミルデュー(ベト病)の原因のカビplasmopara viticolaの
 生き物としての1年間のサイクルをみてみよう。


VV38300100.jpeg 38. traitementトレットモン(農薬散布)
 : bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の効果のしくみ

 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 ボルドー液はagriculture biologiqueアグリキュルチュール・
 ビオロジック((AB)有機農業)の畑で使用がゆるされている。


VV39300100.jpg 39. traitementトレットモン(農薬散布): トラクターでの散布
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 ぶどう樹は2つのノズルにはさまれて、表からも裏からも
 こまかい霧状の農薬をうけることができる。



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