ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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38. traitementトレットモン(農薬散布): bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の効果のしくみ

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mildiouミルデュー(ベト病)に対する農薬の種類

ぶどう樹の栽培の農法にあわせて、いろいろな農薬と使用量の決まりがある。

agriculture biologiqueアグリキュルチュール・ビオロジック((AB)有機農業)で使用がゆるされている農薬は、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)。4-4式ボルドー液は、100リットルの水に対して、生石灰400グラムと硫酸銅400グラムを溶かした混合溶液だ。

今日では、パウダー状のbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)が売られていて、水に溶かすだけでかんたんに散布することができるので一般的になっている。



agriculture biodynamiqueアグリキュルチュール・ビオディナミック(ビオディナミ農法)ではtisane d’ortieティザヌ・ドルティ(煎じたイラクサ)が有名。
こちらがortieオルティ(イラクサ)。右の写真は、切り株の真ん中ににおちた種から生えたイラクサ。

tisane d’ortieティザヌ・ドルティ(煎じたイラクサ)作り方の一例としては
 1. 開花しはじめたイラクサを収穫し、乾燥させる
 2. 10リットルの水に対して、1のイラクサ200グラムをあわせ、沸騰させる
 3. achillée millefeuilleアシエ・ミルフイユ(セイヨウノコギリソウ)を加える
 4. 漉してから、液体をディナミゼ(10分~攪拌)すれば完成


法律で許されている化学農薬を使用することももちろん可能だけれど、agriculture biologiqueアグリキュルチュール・ビオロジック((AB)有機農業)のラベルを取得していないドメーヌでも、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)のみでmildiouミルデュー(ベト病)対策している場合が少なくない。

ここではもっとも一般的なbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)をみていこう。



bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)とは

硫酸銅と生石灰と水の混合液のことで、ボルドー大学のAlexis MILLARDETアレクスィス・ミラルデ教授によって、mildiouミルデュー(ベト病)に対して殺菌効果があることが偶然発見された。このMILLARDETミラルデ教授、じつはフィロキセラがぶどう畑を壊滅させていたときに、アメリカ系のぶどう品種をヨーロッパ系のぶどう品種に接ぎ木することで、ぶどう畑を守った功績をももつワイン史上重要な植物学者だ。


agriculture biologiqueアグリキュルチュール・ビオロジック((AB)有機農業)では、化学的に抽出した成分を使用しないというのが基本の姿勢。とすると、硫酸銅を使用するボルドー液は違反ではないかい。まったくそのとおりなのだけれど、ボルドー液なしにぶどう栽培をする危険性があまりにも高いと判断され、1年に6000g/haの銅を超えないという制限つきで使用が許可されている。

しかも、硫酸銅は自然界にふつう存在している成分であるという説明もつけくわえられている。いっぽう、化学農薬は自然界にはない成分を化学的に合成・抽出してつくられた農薬であると説明されている。

また、日本でもボルドー液を使用した作物に「有機農産物」の表示をすることがJAS(日本農林規格)によって許されている。




bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)はどのような仕組みで効果がでるのか

いきものがエネルギーを生じさせるために体の中にもっているシステム、クエン酸回路(TCA回路)。わてら人間も、植物であるぶどう樹も、mildiouミルデュー(ベト病)の原因のカビplasmopara viticolaも、おなじクエン酸回路というシステムを使ってエネルギーを生じさせている。

人間はじぶんで糖分を作れないから食べる。ぶどう樹は光合成ができるからじぶんで糖分を作れる。plasmopara viticolaはぶどう樹に寄生して糖分を譲ってもらっている。方法はちがっても体内にはいった糖分は、さまざまな酵素によって次々とことなるに変化し、そのたびに炭酸ガスと、水、そしてエネルギーを生じる。そのエネルギーのおかげで、わてらいきものは活動したり、生長したり、増殖したり・・つまり、生きることができる。というのがクエン酸回路。


bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)は、mildiouミルデュー(ベト病)原因のカビplasmopara viticolaのクエン酸回路がうまく回らないように邪魔をすることができる。

分子内に-SHの構造をもつ酵素、スルフヒドリル酵素のなかまが、クエン酸回路のとちゅうで活躍するのだけれど、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の銅イオンが、-SHの部分を酸化させることで、スルフヒドリル酵素のなかまは不活性になる。酵素のスイッチがオフになるイメージ。おかげで反応されるはずだった酸は、次の酸になることができずに、クエン酸回路はサイクルが止まってしまうというわけ。だから炭酸ガスも、水も、エネルギーも生じなくなる。

mildiouミルデュー(ベト病)原因のカビplasmopara viticolaはぶどう樹から吸いとった糖分を、自らの生きるためのエネルギーにすることができなくなり、力尽きる。これがbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)がmildiouミルデュー(ベト病)に対して効果を発揮するしくみだ。



殺菌効果と、カビの侵入防止効果

つまり、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)は、感染してしまったmildiouミルデュー(ベト病)原因のカビplasmopara viticolaを殺菌する効果を持っている。

また、bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)は、ぶどうの葉や花の房に吹きつけられると、しっかりとその場にとどまるという特性があるおかげで、mildiouミルデュー(ベト病)原因のカビplasmopara viticolaがぶどう樹の葉や若い器官に触れたとしても、中に入り込めないようにするカビの侵入防止効果も持っている。



次回は実際のtraitementトレットモン(農薬散布)のようすをみてみよう。




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VV1300100.jpg Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方 もくじ
 このカテゴリーのもくじです。



VV35300100.jpeg 35. traitementトレットモン(農薬散布)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 春に発芽したぶどう樹のみどり色の器官(0才の部分)が罹る
 カビに起因する病気の蔓延をふせぐためにおこなう農薬散布を
 traitementトレットモンと呼んでいる。


VV36300100.jpeg 36. traitementトレットモン(農薬散布): mildiouミルデュー(ベト病)
 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 mildiouミルデュー(ベト病)はplasmopara viticolaという名のカビが
 春に発芽したぶどう樹のみどり色の器官に寄生することによっておこる
 病害だ。


VV37300100.jpeg 37. traitementトレットモン(農薬散布)
 : mildiouミルデュー(ベト病)の性質と3つの予測

 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 mildiouミルデュー(ベト病)の原因のカビplasmopara viticolaの
 生き物としての1年間のサイクルをみてみよう。


VV38300100.jpeg 38. traitementトレットモン(農薬散布)
 : bouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)の効果のしくみ

 -Vieille Vigneヴィエイユ・ヴィーニュの仕立て方-
 ボルドー液はagriculture biologiqueアグリキュルチュール・
 ビオロジック((AB)有機農業)の畑で使用がゆるされている。


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