ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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16. 樹勢が低下している樹を剪定する

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こちらは落葉したguyot simpleギュイヨ・サンプルの樹。acrotonieアクロトニーによる生長の差が顕著に残っている。右側1本を除く4本の枝が、太さも長さも充分でないことから、樹勢が低下しすぎていると判断した。
     
今回の剪定でもguyot simpleギュイヨ・サンプルに仕立てたかったが、新しいbaguetteバゲットにふさわしい枝がみつからない。この樹が充分な樹勢を取り戻せるtailleタイユ(本剪定)をするにはどうしたらいいか。それはぶどう樹の生理学が助けてくれる。



acrotonieアクロトニーによる生長の差

こちらは、暖かくなり芽がほころんできた頃の枝。
注目したいのは、芽の大きさだ。4から1へとみごとに順序よく、高い方にいくに従って芽が大きく膨らんでいる。

これは、先日ご紹介したacrotonieアクロトニーという性質がよく現れた枝。1の芽は2よりも、2は3よりも先に発芽がスタートしたからこの段階で、より大きい姿をしている。

でも通常はこれから春夏にかけて、ぶどう樹は爆発的なスピードと活力を持って生長期をむかえるから、このacrotonieアクロトニーによる芽の生長度合いの誤差など、相殺されてしまう。


わたしたちは既にいろいろな剪定を見てきたので、もう一方の視点をもっている。それは、枝としてしっかり成熟できる分の芽だけが、剪定でのこされるということだ。

つまり、もし樹勢が低下してしまった樹があったら、その樹のもっている活力にあわせて芽の数をのこしてあげればいい。いつものguyot simpleギュイヨ・サンプルなら、crochetクロッシェに2枝、baguetteバゲットに4枝、の計6枝。それを、この年は2つだけcrochetクロッシェをつくることによって、4枝だけ恵んでもらうことにする。

     



去年2つだけcrochetクロッシェをつくった樹。新しい立派な枝を3本恵んでくれた。

それに加えて、2つだけcrochetクロッシェをつくったおかげで、幹になるべく近いところから枝を恵んでもらえる。crochetクロッシェには2芽しかないからacrotonieアクロトニーの差が出る余地がないのだ。



そうして2つの旧crochetsクロッシェから恵んでもらった、4本の枝から、crochetクロッシェとbaguetteバゲットを1つずつつくる。
     

       
こうして、guyot poussardギュイヨ・プーサールに仕立てることができた。
(癖でpoussardにしてしまった。もちろんguyot simpleギュイヨ・サンプルにもできる。)
又は、今年もbauetteバゲットをつくらず、crochetクロッシェを2つだけ作って、樹勢がもっと安定するのを待つのもいい考えだ。




剪定する人によっては、こんなふうにcordon simpleコルドン・サンプルに仕立てる場合もある。
      

    


樹勢の低下以外にも、毎年多くの樹がそれぞれに解決すべき問題を抱えているから、その樹をよく観察することが求められる。

枝の数と質、樹齢、樹の密植度、土の肥沃さ、前回のその樹の収穫量、天気によるアクシデントや、ぶどう樹が被った病害、同品種でもクローンの違い、前年に光合成が健全にできていたかどうかに関すること、(たとえば日照、病害、害虫、適切な仕事など)などなど...これらの、二次的な情報を含めながら、解決しなければいけない。


ただ決められた仕立て方に沿って切ればいいというものではないけど、剪定の"型"に当てはめることで、助けられることもある。ぶどう樹はときどき、非常に複雑だからだ。
そんなときに、"型"に立ち戻ることで、美しい単純さを見つけることができる。
"型"には先人が観察してきたぶどうの生理を尊重し、うまく利用する知恵が詰まっているから、そこへ複雑な現状を当てはめることで混沌が秩序をもつ。
そんな美しい単純さを見つけると、自分は一人でtailleタイユ(本剪定)しているわけではないと気づく。先人の長い歴史と彼らの仕事とともに切っていることを実感する瞬間だ。





 

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