ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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54. labourラブール(耕起)は必要か

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さまざまなlabourラブール(耕起)は、ぶどう栽培により有利な環境をととのえるためにおこなわれているということを見てきた。では、labourラブール(耕起)に欠点はないのだろうか。そして、labourラブール(耕起)はぶどう樹の健やかな生長にとって必要不可欠な仕事なのだろうか。さまざまな生産者の考え方があり、実際にかれらの仕事は選択されている。どんな観点があるのか見ていこう。



labourラブール(耕起)のリスク

labourラブール(耕起)は、土を構成する5つの要素 無機物・有機物・水分・空気・生き物に対して、どんなネガティブな影響をあたえうるのか。

トラクターでlabourラブール(耕起)することで、土をほぐしているつもりが、トラクターの重みが土を踏み固めてしまっているのではないかという見方ができる。特にbuttageビュタージュ(土寄せ)は、毎年同じ深さにおこなうと毎回同じ深さまでしか器具が入ってこない。すると、その深さで耕されない土が毎年、トラクターのタイヤに踏まれることになる。つまりいつまでたってもほぐされることのない、踏み固められた層ができあがってしまうと考えられる。これを問題視するひとは多い。

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かれらは、この踏み固められた土の層は、ほっておいてほぐれるような状態でないと考えている。土が充分な水分や空気をふくめない状態ならば、酸素のゆきわたらない環境で、それまで活発に活動していた生き物が同じように生きていけるはずはないから、その土の無機物・有機物・水分・空気・生き物の相互関係のサイクルはじょじょに衰退するとも想像できる。

もちろんこの想像に対して反論することができるけれど、ここではこの観点に対する対策を見ていこう。



解決策いろいろ

labourラブール(耕起)の方法を変えておこなう、部分的におこなう、まったくおこなわない・・と、解決策とそこに至るまでの考えはさまざまだ。


・より軽いトラクターをつかう
・トラクターと同じ器具を装備できる格段に軽い専用の手押車をつかう

車両類の開発も日進月歩で、土壌に負担の少ない商品がつぎつぎに発売されている。


・トラクターの代わりに馬や人力で仕事をおこなう
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トラクターにかわり、馬や人が働くことによってタイヤで土壌が踏み固められることがなくなる。ひと昔前の方法に戻るようなイメージだけれど、それぞれの道具は古風なものでも、あたらしいものでも揃えることもできる。また、labourラブール(耕起)以外のトラクターをつかう仕事、たとえばtraitemenトレットモン(農薬散布)rognageロニャージュ(摘芯)など、すべてを手作業でおこなうと仕事の量が増えるので、働き手の人数も増えることになる。


・labourラブール(耕起)のなかでも、buttageビュタージュ(土寄せ)débuttageデビュタージュ(畝崩し)をおこなわず、春夏のlabourラブール(耕起)だけおこなう
春夏のlabourラブール(耕起)は、タイヤの後に犁や爪が通過する。それは踏まれた部分をすぐに耕せるということだから、トラクターの通過をそれほど恐れないという考え方だ。


・タイヤが通る部分(=ぶどう樹の列と列のあいだの土)に草をはやしておく
クッションがわりの草の層を設けることで、タイヤが直接土に触れることを防ぐという考え方だ。intercepsアンテルセップ(ぶどう樹とぶどう樹のあいだの土の耕起)のみおこなって、ぶどう樹の列と列のあいだの部分の土にlabourラブール(耕起)をおこなわない。また、buttageビュタージュ(土寄せ)とdébuttageデビュタージュ(畝崩し)もしないか、するとしてもぶどう樹に近い部分を浅くするにとどめておく。こうすることで、1年を通していつもぶどう樹の列と列のあいだの土に草がはえている状態を保つことができる。


・生き物の力を借りる
多少固くなった土でも、そのなかに草の根が生長していくことによってほぐれたり、ミミズをはじめとする動物が通過することにって少しつづ塊が小さくなっていく。
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そうしてできたわずかな隙間に空気や水分が入ってくる。その場で生命活動を終えた生き物は、有機物としてほかの生き物によって分解され、次は無機物としての役割が待っている。

このように、すでに土の無機物・有機物・水分・空気・生き物の相互関係がうまくいっているなら、labourラブール(耕起)をまったくおこなわないでも、土壌はじゅうぶんに酸素を取り込むことができる。

雨がふり、乾いた土に水分がたっぷり染み込むと、それまでその土が抱えていた空気が雨水によって押し出される。そして、雨が止むとその雨水が乾く。それは同時に、あたらしい空気が大気中から土へと入ってくるということでもある。こうして土の中の空気が入れ替わっている。



labourラブール(耕起)をどのように捉えるか、実践するかはさまざまだから、実際にぶどう畑を散歩していると、仕事の選択によるいろいろな地面の表情のちがいをみつけることができる。