ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック

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36. traitementトレットモン(農薬散布): mildiouミルデュー(ベト病)

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mildiouミルデュー(ベト病)とは

mildiouミルデュー(ベト病)はplasmopara viticolaという名のカビが、春に発芽したぶどう樹のみどり色の器官に寄生することによっておこる病害だ。
mildiouミルデュー(ベト病)に罹ったぶどうの葉の裏側


mildiouミルデュー(ベト病)は、おおくの野菜や果物、観賞用植物の栽培にとってやっかいな病害だけれど、くわしくみてみると植物ごとにことなる種類のカビがmildiouミルデュー(ベト病)をおこしている。

つまりにんじんにはplasmopara crustosa、じゃがいもにはphytophthora infestansというカビがついてmildiouミルデュー(ベト病)を起こしていて、それらのカビにぶどう樹が触れてもmildiouミルデューに罹らないというぐあいだ。



ブルゴーニュは年ごとにmildiouミルデュー(ベト病)のリスクが変動する

ブルゴーニュは年によって気候条件が大きく変動するから、mildiouミルデューが蔓延するリスクは年ごとにまったくちがう。猛暑で雨が降らなかった2003年のコート・ドールでは、もし1度も農薬散布しなくてもmildiouミルデューの被害は取るにたらないものだったろうと言われるし、2000年にそんなことをしていたら収穫作業がひつようないくらいの被害が出ただろうと言われている。

つまりmildiouミルデューのカビplasmopara viticolaが好む気候条件の年に、対策をなにもしないでおけばおおくの収穫量を失いかねないし、ばあいによっては完全に失うことがありうるということだ。



mildiouミルデュー(ベト病)が好む気候条件

mildiouミルデューをひきおこすカビplasmopara viticolaの胞子が形成される条件は、湿度80%以上に気温13度以上だ。この組み合わせは、ぶどう樹が発芽する春から秋の収穫にかけて雨さえ降ればかんたんにそろってしまう。

ぶどう樹の生長期に雨が降るというこんなに頻繁におこる身近なできごとで、ぶどうの収穫を大量に失う危険性がうまれている。
Chambolle-Musigny シャンボール村の教会にかかる虹に、副虹も。
年によっては1日のうちになんども虹をみることがある。
雨雲の暗さと、それがとぎれた空からさす光のコントラストから畑の湿度がうかがえる。




ぶどう樹のmildiouミルデュー(ベト病)をふせぐ方法

mildiouミルデューをふせぐには、原因のカビplasmopara viticolaがどのような性質かをよく知ることで効果的な対策ができる。

ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)
ぶどう樹に葉を茂らせすぎると風が通りぬけることができず、湿気がとどまりmildiouミルデューの温床になる。 ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)のときにのこす芽の数と位置を見極めることがたいせつだ。

たとえばguyot simpleギュイヨ・サンプルのばあい、あらかじめ長めに(芽を多くのこし)つくったbaguetteバゲットの芽と芽のあいだの芽を摘むことで、芽が生長し枝になったころ、枝や葉が茂りすぎず、日光や風を葉やぶどう房にじゅうぶんに届けることができる。



上の写真は、芽が生長しsarmentサルモン(新梢)になったころ。baguetteバゲットに6本のsarmentサルモン(新梢)をのこしている。crocheクロッシェには、決まりどおりの2本。1本のぶどう樹が合計8本のsarmentサルモン(新梢)をもっていれば、おおむね収穫量55~hl/haの計算になる。
ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)のときに、この❶~❻のうちさらに2つ3つ摘んでおけば、もっと風とおしよく日光がゆきとどく環境になる。栄養面では、そうして1本の樹の収穫量を減らすことで、ぶどう果粒によりおおくのエキス分を蓄えさせるという狙いもある。


また、baguetteバゲットから地面に向かって発芽する芽を摘むことも効果的だ。芽が生長し葉をたくさんもつ枝になったころ、土に触れて地表にいるmildiouミルデュー(ベト病)の原因カビplasmopara viticolaが葉に感染するリスクがなくなる。土にちかい葉が最初に感染することがほとんどだから、はじめての感染と、そこからの2次感染をも予防することができる。

くわしくは、それぞれの剪定方法にあわせたébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)のページをご覧くださいませ。Vieille Vigneの仕立て方 もくじへ。



ぶどう樹のmildiouミルデュー(ベト病)に対してはどうしても農薬散布がひつよう

ただ、いくら適切にébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)をしても、mildiouミルデュー(ベト病)の被害はでうる。そこで現在、mildiouミルデューの蔓延を防ぐためにおこなわれているのがtraitementトレットモン(農薬散布)だ。

traitementトレットモン(農薬散布)のかわりとなるべく、mildiouミルデュー(ベト病)の原因カビplasmopara viticolaの天敵となり病害をなくし、しかもそのほかの生態系に影響をださないような微生物が研究されているけれども、まだ時間がかかりそうだ。

となるとぶどう栽培にはtraitementトレットモン(農薬散布)が欠かせない。それはagriculture biologiqueアグリキュルチュール・ビオロジック((AB)有機農業)のぶどう畑にも、biodynamieビオディナミの農法を採用しているぶどう畑にとってもおなじだ。農法にあわせて農薬にはいろいろな種類や使用量の決まりがあるけれど、どうしてもこの気候でのぶどう栽培にtraitementトレットモン(農薬散布)は不可欠なのだ。



mildiouミルデュー(ベト病)とtraitementトレットモン(農薬散布)の関係とは・・

このページのはじめで2003年の例をあげたけれども、それは結果論で、春から1度もtraitementトレットモン(農薬散布)しなかった生産者の経験談ではない。それは蔓延してしまえば手の施しようがないというmildiouミルデュー(ベト病)という病害と、それに対する農薬の特性、そしてブルゴーニュの気候条件が関係している。

それらはどういう仕組みになっているのだろう。mildiouミルデュー(ベト病)の原因のカビplasmopara viticolaの生き物としての1年間のサイクルと、ぶどう樹の生長と気候条件をおってみよう。そうすることでブルゴーニュでのmildiouミルデュー(ベト病)という病害と農薬の特性の関係がみえてくるかもしれない。